HTML5の技術的考察

まとめ

ここまで、カテゴリーから始まって画像の操作まで、いくつかのHTML5の概念と定義を見てきました。これらの中で、特に文書構造のマークアップを熟慮するということは、自身の言語活動を吟味し、HTMLの要素に適合するように(HTMLという言語に適合するように)、自らの言葉を再構成するという作業、もしくは訓練です。

さらに、セクションは正しく区切られているのか、コンテンツ・モデルの関係は正しく定義されているのか、などに頭を悩ませていると、ふと、人間が、自分自身が、好きなように言葉を操ればいいのではないか、なぜ、こんな仕様に束縛されなければいけないのか、という疑念が頭をよぎります。

もちろん、セクションという構造は、文章を他人に分かりやすく伝えるため、もしくは論理的に伝えるために、これまで人間が編み出してきた言葉の文化です。それを念頭に置けば、明確な文書構造を探求するということは、「人にやさしく」という理想かもしれません。そのために、私たちは言葉や文章の意味付けを吟味し、内容に見合ったタグを付けられるように、自身の言語を訓練していくのです。友愛に基づく欲望を刺戟とした、思考活動といえるかもしれません。

一方で、こうしたセクション構造は、検索サイトのロボットが、ページを効率よく分析でき、検索サイトのインデックスを作成するのに役立つという考え方もあるようです。機械的プログラムはまだ人間の思考のように柔軟ではないので、「暗黙のセクション」など理解できません。ですから、与えるデータをきちんと人間が整理してあげましょう、ということです。

そこでは、経済的利益の追求が刺戟として機能しています。現在でも、そうした方向性から検索エンジン最適化(SEO)という概念(と商売)が生まれて隆盛を誇っているのですから、HTML5が普及すれば、それに対応したSEOが追求されるに違いありません。すなわち、すべてのセマンティックスはSEOに収斂する、というわけです。ですから、アウトライン・アルゴリズムが経済的刺戟を生み出さないものであったなら、それが廃棄されるのも必定です。

HTML5の記述において、機械プログラムに正しく解釈されるセクション、そして文書構造に適合させていく努力は、「HTML 5 Outliner」や「W3C Markup Validation Service」などの機械プログラムによって評価され、よい結果が出ると安堵し、エラーが出た場合は文書構造的表現を修正することになります。これは、HTMLコーディングの日常風景でしょう。その日常風景に浸かっている自分の作業は、人のためなのか、お金のためなのか、たまには再考してみるとよいでしょう。

参考文献

HTML5
A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML
W3C Recommendation 28 October 2014
HTML 5.1
A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML
W3C Working Draft 17 June 2014
HTML 5.1 Nightly
A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML
Editor’s Draft 27 October 2014
HTML5 Differences from HTML4
W3C Working Draft 18 September 2014
Polyglot Markup: A robust profile of the HTML5 vocabulary
W3C Candidate Recommendation 17 July 2014
詳解 HTML&XHTML&CSS辞典第5版
大藤幹・著 秀和システム・発行 2011年11月1日 第1版第1刷
※ 用語の日本語訳はこの本を参考にしました。

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