白黒写真に着色する その5

オブジェクトを使った着色

最後に、「オブジェクト」とそのマージモードを利用した着色方法をみていきましょう。

オブジェクトとは

PHOTO-PAINTでは、ひとつのファイルの中に、複数の画像を重ね合わせて配置することができます。その最背面が、「バックグラウンド」として固定されますが、その上に重ねられる画像は、それぞれが独立しています。これが「オブジェクト」です。

オブジェクトは、バックグラウンドのように四角形にすることも、その輪郭を自由な形で切り抜くこともできます。また、重ね順を変更したり、透明度や背景との合成方法を設定することができます。先に扱った「レンズ」も、オブジェクトの一種です。

このオブジェクトに色を付け、背景の白黒(彩度0)画像と重ね合わせると、背景画像に着色したかのように見せることができます。

なお、オブジェクトの管理は、オブジェクト」ドッキングウインドウで行います。このドッキングウインドウは、

  • メニュー「ウインドウ」-「ドッキングウインドウ」-「オブジェクト」をクリック

して表示できます。

オブジェクトの作成

では、オブジェクトを作成してみましょう。

  • 「オブジェクト」ドッキングウインドウの新規オブジェクト」をクリック

以上の操作で、新しいオブジェクトが作成されますが、この時点ではドッキングウインドウに名称(例:「オブジェクト 1」)が表示されるだけで、見た目は何も変わりません。

追加された「オブジェクト 1」

実は、生まれたばかりのオブジェクトには、色も形もありません。このまま放っておけば、真夏の雪のように、露と消えてしまいます。そんなはかない存在も、色を付けたり、ブラシでペイントしたりすることで、新規オブジェクトは抽象から言葉通りの具象に生まれ変わります。

オブジェクトにペイント

というわけで、オブジェクトを塗りつぶしてみるわけですが、ただの単色で塗りつぶしたのでは、これまで紹介してきた着色方法と結果的に大差がありません。違いを出すために、今回はグラデーションを使ってオブジェクトを塗りつぶします。

インタラクティブグラデーション塗りつぶし

さて、グラデーションで塗りつぶす方法も、PHOTO-PAINTにはいくつか用意されているのですが、今回はインタラクティブ塗りつぶしツール」を使ってみます。

このツールの基本的な操作方法は、CorelDRAWの同名ツールと同じです。ドラッグして塗りつぶしベクトルを表示し、カラーパレットからカラーノードに色をドラッグして、線形グラデーションを設定します。

線形グラデーション塗りつぶしの手順
  1. 「ツールボックス」バーの「塗りつぶしツール」ボタンをクリックし続け「塗りつぶしツール」フライアウトを表示
    「塗りつぶしツール」フライアウト
  2. 同フライアウトのインタラクティブ塗りつぶしツール」ボタンをクリックして選択
  3. イメージウインドウ上の上辺から下辺に向けて[Ctrl]キーを押しながらドラッグ(註5)、塗りつぶしベクトルを表示
    塗りつぶしベクトルの表示
  4. カラーパレットの「レッド」カラーボックスを上端のカラーノード上にドラッグし、赤色で着色
  5. カラーパレットの「イエロー」カラーボックスを下端のカラーノード上にドラッグし、黄色で着色
    グラデーションを設定
  6. [Enter]キーを押して塗りつぶしを確定

「オブジェクト」ドッキングウインドウの表示これでオブジェクトが塗りつぶされ、ドッキングウインドウにも反映されます。そして、背景の画像はオブジェクトに隠され、見えなくなっています。

マージモードの変更

もちろん、このままでは背景画像に着色したことにはなりません。そのように見せかけるには、オブジェクトの塗りつぶしを背景と“合成”する必要があります。それが、「マージモード」です。

オブジェクトを選択していると、「オブジェクト」ドッキングウインドウの「マージモード」リストボックスが使える状態に���っています。このリストから、とりあえず

  • 「乗算」をクリック

して選択してみましょう。すると、不透明だったオブジェクトが背景画像と合成され、背景をグラデーションで着色したかのように見えます。

適用結果


記事内のナビゲーション
記事中の各見出しは、クリックすると「目次」(Contents)に戻ることができます。「目次」の各項目は、クリックすると記事内の見出しに移動できます。
目次とそのリンクは、JavaScriptによって自動的に生成しているため、JavaScriptを無効にしている場合、機能しなくなります。

脚注
註5
[Ctrl]キーを押しながらドラッグすると、塗りつぶしベクトルを垂直もしくは水平に、真っ直ぐ引くことができます。