白黒写真に着色する その1

はじめに

この記事では、PHOTO-PAINTを使い、白黒写真画像を単色で色付けする方法を紹介します。

元画像

結果見本

結果見本

上の例のように、絵柄の輪郭は、もちろんそのままにしておきます。その一方で、元画像では白~グレー~黒で表されている濃淡の変化を特定の色で置き換える、という操作をすることになります。

と、原理的な理解も必要ですが、その辺りはPHOTO-PAINTとパソコンが処理してくれることですので、とりあえずはどのような方法と手順なのか、を説明していきましょう。

材料の準備

とはいえ、作業を始めるに当たっては、白黒写真画像が必要です。まず、白黒写真を用意しましょう。

色の形式(カラーモデル)

通常、パソコンで扱う白黒写真は、8bit グレースケール」という形式(以下、グレースケール画像)の画像になります。ふつうのデジタルカメラなどで撮ったカラー写真は、24bit RGBカラー」形式(以下、RGBカラー画像)です(註1)。

では、そのグレースケール画像を使うのかというと、実は違います。グレースケール画像ではこれからの作業はできません。それは、グレースケールには色が付けられないからです。白黒フィルムでカラー写真は撮れない、ということですね。

形式の変更

けれども、パソコン上では比較的簡単に“無理が通れば道理が引っ込”みます。グレースケール画像でも、PHOTO-PAINTの次の操作でRGBカラー画像に変えられます。

  • メニュー「イメージ」-「カラーモード」-RGBカラー(24 ビット)」をクリック

もちろん、この操作の後も見た目は白黒写真のままですが、形式は変わっているので、この“白黒写真”には色が付けられるようになっています。

また、グレースケール画像をコピーして、RGBカラー画像のファイルにに貼り付ける、という方法でも構いません。

彩度を落として白黒に

もし白黒写真が無ければ、RGBカラー画像をグレースケールに変換してしまえばよいのですが、すると、再度RGBカラーに戻さなければなりません。面倒ですね。

そこで、RGBカラー画像のカラーモデルを変更しないで、白黒写真にする方法を紹介しましょう。

  1. メニュー「イメージ」-「調整」-色相/彩度/明度」をクリック、「色相/彩度/明度」ダイアログを開く
  2. 「彩度」スライダを左端までドラッグ、値を「-100」に設定
    「色相/彩度/明度」ダイアログ
  3. 「OK」をクリック、ダイアログを閉じる

この調整効果にある「彩度」は、画像の色合いを調整するもののひとつなのです。

ある色の“本来の色”が、まず「純色」として決めてあります。この純色が、彩度が100%との状態になります。そして世間の荒波にもまれ、純粋さが薄れていくに従って、色褪せた状態になります。完全に色褪せ、色がなくなってしまった状態(白、黒、もしくはグレー)が「無彩色」と呼ばれ、彩度0%になります(註2)。

つまり、「彩度」スライダを-100まで動かしたことで、彩度0%に変更したわけです。その結果、画像から色が失われ、白~グレー~黒の濃淡に置き換えられてしまい、白黒写真になったという次第です。

「色相/彩度/明度」では、スライダを動かして0%以外にも彩度を設定可能です。しかし、「そんなの面倒だ、ただ白黒になればいい」なんていう気の短い方は、次のコマンドを実行してください。

  • メニュー「イメージ」-「調整」-彩度の低減」をクリック

「彩度の低減」は、ダイアログも表示せず、ただ一途に彩度を-100にします。まあ、はじめからこちらを実行すればよかったのですが、人生、急がば回れということもあるでしょう。

とはいえ、例によって準備に時間を費やしすぎたかもしれません。次ページからは、「カラーバランス」という効果を使って、本題に取り掛かります。


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脚注
註1
こうした形式のことを、「カラーモデル」と呼びます。CDGSでは、カラーモデルを扱うコマンドに「カラーモード」という名称を付けていますが、同じ意味と考えて特に問題ありません。
他にも、「1bit モノクロ」「8bit パレット」「32bit CMYKカラー」等のカラーモデルがあります。
註2
「純色」に入る色は、「色相」として決められています。さらに、明るさが色に与える変化を「明度」として定義し、これらと彩度を組み合わせて色を決める方法が、「カラーオーダシステム」です。いくつかの方式があり、色彩学や産業界で利用されています。コンピュータでも、「HLS」「HSB」カラーモデルとして、色の指定に使います。