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黒住浩司 Webサイト

Windows 8におけるCorelDRAW

内容

マイクロソフトの次期OS、「Windows 8」は着々と開発が進んでいるようですが、6月1日には、リリース候補版に相当する「Release Preview」が一般にも公開され、試用できるようになっています。

http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-8/release-preview

私も、ちょうど先月末、CPUとマザーボードを取り換えたので、そのついでにパソコンのOSもWindows 8 Release Preview 64bitに切り替えてみました。「Metro」と呼ばれる新しいインターフェイスが導入されたこともあり、Windows 8の新しい操作方法に慣れる必要があるので、使う前は「いったい、Metroってなんだ?」という気後れ的なものも感じていました。まあ、初めてパソコン、というよりワープロを使った時(1980年代前半頃のことです)、「いったい、キーボードってなんだ? どうやって文字を入れるんだ?」と躊躇していたことに比べれば、既に20年近く慣れ親しんだWindowsの発展形ですから、習熟にさほど時間はかからないと思います。

さて、本題はそのWindows 8で、CorelDRAW Graphics Suiteが動作するのか、という点です。これまで使ってきたWindows 7同様、CorelDRAW Graphics SuiteのX4、X5、そしてX6(X6のみ英語版で、他は日本語版)をWindows 8 Release Previewにインストールしてみましたが、いずれも問題なく動作しています。

もちろん、CorelDRAW Graphics Suiteは、Metroに対応したアプリケーションではありません。ですので、ほぼ従来どおりのデスクトップで、CorelDRAW Graphics Suiteは実行されます。ただし、Windows 8には、Windowsの「スタート」ボタンや「プログラム グループ」メニューはありません。このため、Metro非対応のデスクトップ アプリケーションであっても、プログラムアイコンは「スタート」に登録されます。ここでクリックすると、デスクトップに切り替わり、アプリケーションが起動します。デスクトップ アプリケーションから見るとMetroのスタート画面は、ある意味、全画面の「プログラム グループ」のようなものと言えるでしょう。もちろん、それはMetroの矮小化された使い方でしかありませんが…。

それはそれとして、複数のディスプレイを使用している場合、Metroのスタート画面をメイン ディスプレイ以外へ一時的に移動させることもできるので、私は以下のように3画面でスタートとCorelDRAWを表示させています。一度、あるディスプレイでスタート画面を表示させれば、ログイン(サインイン)中は位置が記憶されるので、あとはWindowsキーを押すだけで呼び出すことができ、他の画面にあるCorelDRAWを邪魔することはありません。

Windows 8 PP 3画面表示
Windows 8 PPで3画面表示。左にスタート、中央と右でCorelDRAW X5を実行

また、デスクトップのタスクバーにアプリケーションをピン止めすることも、Windows 7と同様にできるので、そこから起動させるほうが楽な場合もあります。

Windows 8 Release Preview上で動作するCorelDRAW自体は、Windows 7でのそれと、これといった違いはありません。CPUがIntel Core i7 3770、そしてシステムドライブをSSDにしてあるので、アプリケーションの起動や一般的な動作では、OSの違いはあまり感じられなくなっています。ただ、極端に複雑で大きなファイルをハードディスクから読み出すときなどは、Windows 8で実行したほうが高速です。

ところで、Corel社はWindows 8のMetroアプリケーションとして、「designs」を提供しています。これは、Windows 8の「ストア」からインストールできます。designsには、coreldraw.comのギャラリーを閲覧する機能しかなく、とりあえず「Metroアプリケーションを作ってみました」というものですが、それでも素早い対応です。

designsの表示画面
metroアプリケーション「designs」でcoreldraw.comのギャラリーを閲覧

Windows 8は、特にこのMetroで、従来とは異なる「ユーザー体験(UX)」を提供することを目的としているようですが(PC Watch 記事『Microsoft「Surface」がPCメーカーに与えた衝撃』参照)、CorelDRAWやPHOTO-PAINTといったドキュメント/イメージを作成することが主目的のアプリケーションは、やはりデスクトップに依存したUXになっています。ですので、敢えてMetroに準拠した改造を施さなくてもよさそうな感じです。一方、閲覧/検索といった作業が中心のアプリケーションが、Metroに向いているようですが、そうであるなら、Corel CONNECTこそ、将来Metroに対応すべきなのかもしれません。その名のごとく、CorelDRAW Graphics SuiteでMetroとデスクトップを繋ぐ役割を果たしてくれたらいいのでは、と夢想しているところです。