ハナちゃんの足跡

~最愛の友だちを記念して~


さようなら、ハナちゃん ハナちゃんの在りし日の姿 小太郎と小次郎 過去の日誌
ハナちゃん 小太郎 小次郎

2003年3月28日(日)

「真昼頃、梅は咲いたか桜はまだかいな。たったいま教わったばかりのフランスの叙情詩とは打って変わったかかる無学な文句に、勝手なふしをつけて繰りかえし繰りかえし口ずさみながら、例の甘酒屋を訪れたのである」。太宰治『ダスゲマイネ』の一節だ。僕はフランス文学を習ってはいないが、ふらふらと陽気に誘われ、今独学している色彩学の本を放り出して、見沼田圃の桜を眺めに自転車で連日出かけている。

昨日は、空気が澄みすぎ、空が青すぎた。桜の花の薄いピンク色には、霞がかった薄い青空が似合う。色彩学的に言えば、類似彩度もしくは類似明度の色合いだ。昨日は空が純色に近い青で、花との色相や彩度の差が際立ち、色彩の調和を欠いていた。直接桜の木を見上げていたときにはあまり気にならなかったが、帰宅後、デジタルカメラで撮影した画像を見ると、背景が合成用のブルースクリーンのようになっていた。

今日の色彩は、美しく調和していた。その点は、申し分なし。桜はまだ満開ではないけれど、それも良し。しかし、今日は日曜日。予想通り、氷川女體神社や見沼代用水西縁の桜並木は、たくさんの人出で賑わっていた。自分自身が陽気に浮かれていることを棚に上げて、自転車で人を避けながら走らなければならないような、こんな雑踏が僕は嫌いだ。20年前であれば、見沼代用水の桜並木は造成されたばかりで、この季節であっても人はほとんどいなかった。当時、僕は狭山市に住んでいたけれど、桜が貧弱でもはるばる出かけてきた。今は見事な並木に育ったが、よけいなものも増えてしまった。人ではなく、猫がたくさん徘徊しているのであれば、大歓迎なのだが...。それも、白黒の猫が、たくさんいればよいのに。そうなったら、桜よりも、猫を眺めてサイクリングすることになるだろう。楽しそうだ。ハナちゃんと同じ模様を見つけることは、なかなか難しそうだが。

さて、明日は月曜日。まだ桜は満開ではない。けれども、平日は人出が減る。天気は、まだ良さそうだ。

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