ハナちゃんの足跡

~最愛の友だちを記念して~


さようなら、ハナちゃん ハナちゃんの在りし日の姿 小太郎と小次郎 過去の日誌
ハナちゃん 小太郎 小次郎

2003年9月27日(土)

昨日は、講師をしている訓練校の終了式。所詮は講師なので終了式には出席しないが、そのあとの生徒たちとの飲み会に出かけた。場所は新宿。ゴミゴミした、胡散臭い田舎町。帰りは駅の方向を間違えてしまい、終電に遅れるのではと冷や汗をかいた。帰宅の満員電車にも、ガラの悪そうな“埼玉都民”がうんざりするほど詰め込まれている。まあ、彼らも東京の澱んだ空気に感化されてしまったのだろう。深夜に到着した浦和の空気は、もちろん涼しく澄んでいた。再開発中の東口駅前で、空き地の路地に猫をみつけた。暗かったので、どんな模様なのかはよくわからない。近づこうとすると、警戒して距離を置く。「おやすみ」と声だけをかけて、家路を急いだ。

そして、今日。小太郎に7時前に起こされる。新宿の毒気を清めるため、見沼田圃へサイクリング。先日、友人と源流探検をして以来、見沼田圃の中央を流れる芝川に愛着を感じるようになった。お決まりの見沼代用水西縁堤防コースから離れ、芝川沿いの砂利道を走ってみる。生い茂る雑草が路肩に迫る狭い道では、タイヤが砂利を撥ねる音に驚いて、たくさんのバッタたちが舞い上がる。こんな光景には、20年ほど前、同じ見沼田圃 の熊野神社参道でお目にかかったことがある。その頃から、相変わらず僕は見沼を自転車で走っている。僕の何が変わり、何が変わらなかったのだろうか?

熊野神社へのコースも頭に浮かんだが、あそこは旧大宮領内なので、今日は却下。浦和で最も神聖で高貴な場所、氷川女体神社へと向かう。この神社にも、いったい何度、通ったことだろう。拝殿と神殿を眺め、末社を一巡りして、磐船祭祭祀場へ。この僕が定めた“巡礼”方法も、20年来変わらない。祭祀場にある、注連縄を結ばれた大木の周りでは、水面の乱反射を受けて照らし出された枝葉たちが、神々しく風に舞っている。ここの光に洗われて、僕の禊は完了する。藪蚊の襲来に耐えなければならないのは、ご愛嬌。

さて、今日のサイクリングにはもうひとつの目的があった。昨日、何人もの生徒たちと飲み会で話しをして、今日はひとり。さらに、次に始まるクラスの30人のことを、もう考えなければならない。なんだか目まぐるしく、少しだけ寂しくなったのだ。そんなとき、見沼田圃や氷川女体神社の声なき声を、僕は聴きに出かける。この場所と実生活との、時の流れの違いを比較して、僕は僕自身も見つめ直す。

もちろん、大した結論が導き出されるわけでもない。「そういえば、こんな天気の日に、明るいうちに昼食と夕食を一緒にして、酒を飲みながらのんびり過ごしたことがあったよな。今日はそうしよう」、ということになっただけ。途中でスーパーに寄り、安ワインと弁当と惣菜とかを買い込んで、ほんとうにのんびり過ごしていたら、小太郎の傍らで一緒に丸くなり眠ってしまった。我らが浦和レッズの6-1で大勝したすばらしい試合を、ほとんど見逃してしまったというのが、自分を見つめなおした“代償”になってしまった。ハナちゃんが、きっとどこかで笑っているだろう。

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