ハナちゃんの足跡

~最愛の友だちを記念して~


さようなら、ハナちゃん ハナちゃんの在りし日の姿 小太郎と小次郎 過去の日誌
ハナちゃん 小太郎 小次郎

2003年1月13日(月)

正月という、1年間でいちばんつまらない年中行事が過ぎた。年末は、毎年高校時代の友人と忘年会を開くので楽しみにしているのだが、年始は特に行事もない。テレビは、ほとんどの地上波で同じようなバラエティ番組で塗りつぶされる。他民族ともいうべき関西系の芸人に跋扈されるのは、うんざりだ。

それでも最近はCATVという便利なものがあるので、こうしたくだらない番組に煩わされることなく、テレビのスイッチを入れられるようになった。また、コンビニエンスストアもスーパーマーケットも元旦営業するようになったので、普段どおりの生活ができる。そして、昨年と一昨年の年始は、ハナちゃんと二人っきりで静かに過ごしていた。

今回は引っ越しとその後片付けに追われ、非日常的な作業に追われる羽目になった。小太郎を新しい環境に慣れさせるためにも、神経を使った。さらに両親との同居になったので、人間同士のコミュニケーションという難題も追加されている。小太郎や、ハナちゃんとの付き合いのほうが親密なのは、人間失格ということだろうか? ともあれ、慌ただしい年末年始が過ぎ去り、やっと新しい生活環境にも慣れてきた。生活のリズムが落ち着きを取り戻すと同時に、再びあの喪失感がこみ上げてくる。

今の新しい部屋は、完全に小太郎との暮らしと結びついている。小太郎のために、家具や猫グッズでいろいろと配慮した。一方ハナちゃんの骨壷は、二体の土偶を後ろに従えて、本棚の一角に鎮座している。小太郎は家中を跳び回り、いたるところに新しい想い出を作っていくが、ハナちゃんはその20センチ四方の一角で、ただ僕が死ぬまでの時間をひたすら待つだけなのだ。そこにあるというだけで、新しい想い出はもう生まれない。さらに引っ越しによって、想い出の物理的な背景は失われた。荷物を運び出し、ゴミを片付けた空っぽの部屋には、何かが残ったのだろうか。高校時代に国語の授業で習った、ポーの詩を思い出す。

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