ハナちゃんの足跡

~最愛の友だちを記念して~


さようなら、ハナちゃん ハナちゃんの在りし日の姿 小太郎と小次郎 過去の日誌
ハナちゃん 小太郎 小次郎

2002年12月21日(土)

この部屋で過ごすのも、あと2日。今日引っ越す選択肢もあったのだが、手伝ってくれる友人の都合に合わせて、明後日に決定した。そして今日は、毎月訪れる「21日」。ハナちゃんと別れることになってしまった日付。それを意識したわけではないが、ハナちゃんには、昨日のうちに既に引っ越してもらっている。荷造り作業の慌ただしさにまぎれて、万が一、ハナちゃんの骨壷を破損するようなことになったら取り返しがつかないので、一足先に自転車で実家に連れて行った。

ハナちゃんは、もうこの部屋にはいない。7ヶ月前のあの朝、血まみれのハナちゃんの亡骸が部屋の中心にあった。血のにおいも、部屋に残った。そして昼過ぎには、もう骨壷に入ってハナちゃんは帰ってきた。以来、それはずっとハナちゃんが好きだったテレビの上に置かれていた。

さすがに、近所に買い物に行く程度の外出では、ハナちゃんに挨拶はしなくなってしまった。今では、毎週訓練校へ講義に出かけるときだけ、骨壷に顔をつけてハナちゃんに挨拶をしている。最近は、「小太郎のことをよろしく頼むよ」といって出かけることが多い。小太郎も家に来てから5ヶ月を超えたけれど、一度もハナちゃんの骨壷を引っくり返すことはなかった。起きているときはやたらと元気で、やんちゃに暴れまわって部屋中を掻き回す小太郎なのに、なんだか不思議なことだ。とりあえず、今ハナちゃんはここから数キロ離れたところで、僕の引っ越しを待っている。実家の僕の部屋は、普段は使われていないので、ハナちゃんは寂しい思いをしているだろう。

家の近所や訓練校の近くで、最近、迷い猫探しのポスターが電柱に貼ってある。それを見ると迷子になってしまうのは、どうも引っ越しのときに逃げ出すケースが多いようだ。小太郎にも、細心の注意を払わなければならない。生きているのか死んでいるのか、分からないまま離れ離れになってしまうのは、きっと辛いことだろう。それに比べれば、もうこれ以上遠くへ行ってしまうことのないハナちゃんは、ほんとうに優しい猫なのだ。

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