10月。秋の深まり。しかし、夏の置き土産とも言うべき台風が近づき、激しい雨が降っている。昨日のうちに、小太郎の予防接種に行っておいたのは正解だった。小太郎の予防接種は、まだ子供なので1カ月おきの2回目。小太郎の「予防接種証明書」が2枚になった。これで、次回の接種は1年後になる。
ハナちゃんが小太郎と同じ年頃の時は、まだ野良猫だった。予防接種は、まだできなかった。大きな怪我をしていたこともあったので、心配だった。大人になって発情期を迎え、近所の雄猫に追い掛け回されていたときに身柄を確保して、掛かりつけとなった動物病院に連れて行き、不妊手術をしてもらった。そのときが初の予防接種。獣医さんは未接種と聞いて少し顔をしかめたが、きちんと対応してくれた。小太郎のものと同様のハナちゃんの証明書が、今も2枚残っている。
そう、ハナちゃんの予防接種といえば、その手術のことを思い出す。人間の都合で不妊や去勢手術をすることに抵抗感はあるが、僕自身の責任能力を考えると、避けては通れない。僕はハナちゃんを病院に連れて行ったとき、初めてハナちゃんと一生付き合おうと思った。
そして2年目の予防接種が今年の4月下旬だった。時期を忘れていて、1ヶ月ほど遅れてしまった。1年前、2年前と比べて、ずいぶん大きく、立派なおとなの猫に育ったハナちゃん。予防接種をしたからといって、絶対に病気にかからないというわけではないけれど、無事に1年が過ぎ、僕はほっとして「これからも一緒にいようね」と頭を撫でたり鼻をくっつけたりした。
ハナちゃんの証明書には、次回は来年の4月19日と書いてある。その日が来ても、連れて行くハナちゃんがもういない。そして10月は、ハナちゃんと初めて出会った月だ。3年目のその日が、もうすぐやってくる。
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